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私が美術系の学校を辞めた理由

都内美術大学絵画科中退 匿名

みなさん、青春してますか?大学生のうちにしかできないこと、楽しんでますか?
お酒を飲みながら夜が明けるまで友達と夢を語り合ったり、世界を旅したり、学問に打ち込んだり……適当にあげてみましたが、どれも素敵なことですね。
でも、これらは大学生じゃなくてもできるのです。本当に大学生のうちにしかできないこととは何か。
それは、大学を中退することです。
卒業だってそうだろ、というのもごもっともです。
それはさておき、中退の話をしましょう。

みなさん、どうですか?最近中退してますか?
私はしました。
ハリウッドのセレブの間でブームだから、とか全身で地球の鼓動を感じたかったから、みたいな理由ではありません。

まず第一にお金がなかったから、第二にお金がなかったから、三四がなくて第五にお金がなかったからです。
私立の美術系の大学・学科は卒業までの四年間に学費だけで700~800万円ほどかかります。このくらいの額のお金は、心臓にヌルっと絡みついてくる感じがあります。もっと大きいお金とはまた違った怖さがあって、考えると変な汗が出てきます。
そのようなお金が簡単に出せる家庭はあまりないので、多くの学生は奨学金を借りることになります。奨学金。言葉の響きとしては、有望な学生のために国がポンとプレゼントしてくれるお金みたいな雰囲気がありますね。太っ腹だなあ。やったぜ。ですが、みなさんもご存じのとおり、単なる借金です。しょんぼり。
もちろん学費以外にも毎月お金は出ていくので、実家から通う学生以外は奨学金だけではやりくりすることは困難です。大学に通うためにアルバイトをしているのか、アルバイトをするついでに大学に通っているのか。そんなふうになっている学生は美術系以外にも広く見受けられます。

第六に、授業。
これは、私が期待していた授業と実際の授業との間に大きな隔たりがあったということです。ですが、私だけの問題ではありません。また、国公立・私立を問わない問題です。

入学してくる学生は大学で美術を学ぶのにふさわしい創作力を身につけている、と考える大学。そして今の創作力に不足を感じている一定の学生。その二者のあいだにずれが生じているように思えます。
ここでいう創作力とは、大学側にとっては技量以外の部分が大きな比重を占めます。そのため、大学のカリキュラムには学生の技量を向上させるための授業はあまり含まれていません。それゆえに、技量に創作力の重点を置きつつも、自身の技量に物足りなさを感じる学生たちは違和感を感じながら学生生活を送ることになるのです。
美術系大学・学科の授業では「与えられるのを待たずに自分で掴み取りなさい」ということを学生に言う様子が見られます。その他の系統の大学でもそうなのかもしれませんが、美術系大学は特に顕著です。
授業とは読んで字のごとく「わざをさずける」ということです。授けた業をどのように生かすかは学生の自由ですが、業を授けられること自体少ないのでそういう意味ではほぼ完全に自由です。

これまで私が大学を辞めた理由について書いてきましたが、最大の理由は「お金がなかったから」ということです。

その他の点について
予算の割り振られ方が学科によって差が大きい。
私がいた学科の建物は、山賊の砦のようなたたずまいでわびさびのある雰囲気だった。設備も、モデルさんを呼んでデッサンをしたことがあったのだが、このような場合モデルさんが寒くないように暖房器具を使うのだが石油ストーブを使っていた。ひとむかし前の感覚であればごく当たり前に思えるのかもしれない。だが、失火のおそれがあるためハロゲンヒーターを使うのが妥当である。
このようなありさまでほぼ同じ学費では不公平感がある。
講評のとき、教師と学生の声が聞きとりづらい。部屋が広いことに加えてマイクもないため、人前で話すことに慣れていない学生の声はほとんど聞こえない。

最後に、私の在籍していた大学の教職員は親切な方たちばかりだったことを書き添えておきます。

私が美術系の学校を辞めた理由
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