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絵を描かない絵画教室計画

私が20年前入学した東京藝術大学油画専攻では「絵なんか描いてもしょうがない」と言うキャッチコピーで現代美術に目を向けるべく先生の指導が入りました。
当時は絵を描いていたら、現代美術の先生に突かれる。
理論武装という言葉が流行っていた当時、先生たちは生徒を動かすための多くの論法を用意していました。
そして、東京藝術大学油画専攻内部での絵を描くファインアートの世界と、芸術について考えるコンテンポラリーアートとの闘争の構図は茨城県取手校舎の完成を期にファインアート系の教員が上野校舎を陣取り、コンテンポラリー系の教員が取手校舎を陣取り、完全に2分されていました。
コンテンポラリー系の教員が当時出した成果は東京藝術大学から先行きの暗い公募団体系の勢力を弱体化させ、完全に油画から排除した点でした。 私が東京藝術大学に入学した当時は教授のほぼ全員が縁故と惰性で教授になった公募団体系の教員です。 実りのない公募団体の中で弱った先生たちからは覇気を感じることはなく、学ぶこともなく、この人たちが時代を牽引する力はないことは見ればすぐにわかりました。 そのような様相の中で雄々しく力を発揮していたのはコンテンポラリー系の先生たちでした。

油画専攻では当時の新1年生は1年間取手校舎に通います。
取手校舎ではコンテンポラリー系の教員の洗礼を受けることになります。
油画の世界でファインとコンテンポラリーの対局は大きな変革を生んだと共に大変有意義だったと思います。 ただし、私の眼から見て当時の彼らの大きな欠点は当時のコンテンポラリーの教員が1年生で絵を描こうとする生徒を完全に駆逐したことです。
「絵なんか描いてもしょうがない」というキャッチコピーは大方間違いではありません。 しかしそのコピーの大きな過ちはほんのわずかではありますが、東京藝術大学には芸大に入るまでに油画で世界でどのような作品を作れば良いか?イメージがすでに完成している「天才」がいるのです。 当時のキャンペーンはその「天才」の全てを駆逐してしまいました。
その最中で、唯一生き残れたのは「先生の話を聞きすぎても仕方がない」と考えている学生でした。 「先生の話を聞きすぎても仕方がない」という話も半分正解です。

今日のお話は「先生の言うことを素直に聞く油画の天才」のお話です。

当時、先生の言うことを聞く生徒は筆をおきました。 逆に先生の言うことを聞かない生徒は絵を描き続けます。 この構図はとても面白い現象を生みました。 つまり、先生の言うことを聞いた真面目な生徒は20年後不良品扱いされます。 そして、当時先生のいうことを聞かなかった生徒は今絵を描いて真面目で優秀で才能がある画家として評価されています。

今の芸大ではおそらく「絵なんか描いてもしょうがない」というコピーは、当時の権力闘争の悪しき残骸として証拠隠滅したい蒸し返したくないものなのだと思います。 当時筆を置いた生徒には消えて欲しい。
「わかるだろ・・」
そういった先生たちの熱い「思い」が聞こえてきます。

自らの権力を掴んだ後は闘争する相手もいなくなり、しだいに気持ちも落ち着いて、今の東京藝術大学の油画科のキャッチコピーはおそらく「描けばいいんだ」だと思います。

さて、何かおき忘れていると思います。
つまり、「絵なんか描いてもしょうがない」「描けばいいんだ」はどちらも正解なのです。 問題は2つの言葉の中に無数の・・というか無限の入るべき多くの言葉が欠落しているのです。 「わかるだろ」などと言っている暇があったら・・。 というか聞き入れている暇があったら2つの言葉の中に入る言葉を出来得る限り詰め込んで・・・。

「描けばいいんだ」というキャッチコピーの陰には、ただただ楽観視すれば良いとは言い切れない悪しき残像が見え隠れします。 これからの学生たちには本心から「描けばいいんだ」と言ってやりたい。 でも、本当にそのまま特攻して玉砕しないのか?そうとは言い切れない多くの懸念が湧くのです。 実際私はクマビの油絵科の学生に画家として生きる道を楽観的に勧めてはいません。 それよりも事故が起きないように具体的なリスクについて話す方が先だと考えています。 理由は脆弱な油画の世界では気持ちが折れそうになるような悲観的な話を聞く機会は少ないだろうと考えるからです。 私は油画の世界の人間なので油絵科に生徒が集まるのは嬉しいです。 なので楽観的な話をしていた方が生徒たちの居心地はよく、生徒も集まりやすいと思います。 それは十分承知の上で、それでもリスクについて話す必要があると思うのです。

私のこれからの仕事は「描けばいいんだ」の影に潜む問題の全てを静かに駆逐することです。 必殺仕事人のように静かに・・。 俺中村主水やるので、誰か他の人やらない?・・。

絵を描かない絵画教室は、「研究班」「実行班」「指導班」に分かれます。
研究の成果を指導班が絵を描かない絵画教室で講座として発表します。

というのが、絵を描かない絵画教室です。
絵画教室の開催日時は不定期です。
参加希望者はクマビの問い合わせフォームからお問い合わせください。


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