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図画工作で褒められたハザード

学校の図画工作と美術の授業によって大きな誤解が生まれています。
日本人なら誰もが受ける誤解です。
学校の授業が誤った認識を与えているのでその被害は甚大です。

被害とは、「自由にのびのび」で楽に楽しく制作して学校を出て食べていけると誤解して多くの学生が美術予備校や専門学校やFランクの大学に進学した際に思っていた世界とまるで違うことに気づき、多額の授業料を支払った後なので後戻りができずに立ち往生することです。

気をつけなければならない点は誤った認識を与えている先生方が一概に悪いわけではない点です。先生方は大学で「自由にのびのび」指導するように教育されています。かく言う私自身も生徒たちに「自由にのびのび」させるように指導されてきました。なので「自由にのびのび」させる論法は十二分に理解しています。私なりに20年間美術教育に関わってきてそれなりに精通しているつもりです。

学校のビジネスモデルは優秀な学生からの収益で運営できるようには作られていません。つまり、上位層、中間層、下位層の全てのレベルの学生を集めて初めて運営できるように作られています。昔は美術系の学校は少なかったので芸大美大にFランクの大学がありませんでした。現在のFランクに下がっている大学でも20年前は10倍程度の倍率がありました。20年経って、倍率が下がってきていることは良いことだと思います。ただし、ただでさえ厳しい美術とデザインの世界で20年前の狭き門をくぐった学生たちでさえ卒業して食べていくことは厳しい状況だったにもかかわらず、今は簡単に入れるFランクの大学が増え、専門学校も増え、比例して多額の授業料を支払いながら食べていくことができない学生は増えています。

美術系の学校が運営していく上で大事にしている集客のためのコピーは「自由にのびのび」です。
優秀な生徒は「自由にのびのび」と指導されても、自分自身で制約を見抜き、競争の壁の高さを測り、自主的に努力をして食べていけるようになります。一方で「自由にのびのび」と指導されて、美術や図画工作以外の教科で上手くいかなかったために、楽にのんびり上手くいくかもしれないと淡い期待を抱いて美術とデザインの世界に足を踏み入れた学生は、この世界で食べていくことはできません。学校までは優しく擁護されても、就職先の洗礼を受けて、持ちこたえて5〜10年です。

所謂ブラック企業と言われる環境で耐えられる時間はそう長くはありません。つまり、学生の間に必死に努力をして、しっかりと優良企業がどこかを調べて、それから就職しなければならないのです。優良企業に入るにはまず、芸大美大の高倍率の難関校に行くこと。Fランクの大学や専門学校が一概に悪いわけではありません。学校に入って必死に頑張ることが大切なだけです。学校にいる間に頑張れば優良企業にいくことは可能です。

つまり、幼稚園から芸大美大まで「自由にのびのび」の風潮が以前より高まり、弊害も増えています。柔らかく擁護する姿勢は大切です。但し、楽に、のんびり食べていけると言う誤解は絶対に与えてはなりません。

現状で保育園、幼稚園、小学校の先生たちの多くは美術とデザインの世界を知りません。美術とデザインの世界は「才能」があれば「自由にのびのび」で食べていけると考えている先生が多いです。
保育園、幼稚園、小学校の先生方が美術とデザインの世界がよくわからないのは当然です。でも、子供たちと親御さんからすると先生たちには一定の理解があると言う認識です。子供たちの作品に対しての先生の評価は子供達と親御さんはこの世界に精通したプロの評価として純粋に信じます。つまり、親御さんからすれば芸大美大への進路もイメージしてみるわけです。多くの先生方が作品を褒めると思います。それは、そこまでは正しい行いですが、でもそれが大きなハザードに繋がっています。

人に優しくあろうとする図画工作と美術とデザインの在り方は大切です。
ですが時と場合による使い分けを知らず、指導を誤ると事故につながります。事故はすでに災害とも言えるレベルで起きています。そして今はそれがネットを通じて社会に露呈するかどうかのタイミングを待っている状態です。

つまり一般的にいうプロ(美術とデザインの世界ではあまり使わない表現です)の世界。仕事。職場。アーティスト。デザイナーなどは甘い世界ではありません。甘い世界とは逆の厳しい世界です。

学校の図画工作と美術の授業で導入されたイメージによって、あまりに多くの高校生と保護者がそんな厳しい世界だと知らずに美術系の学校に入って絶望的な不幸を経験しています。

私はこれを絶対に阻止したい。
学校の図画工作と美術の授業で正しい認識を生徒たちに必ず指導するべきです。

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